+ 岐阜県 大垣市 空間建築工房 Kuhcan 80年前の松の縁側の家 新築 +

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80年前の松の縁側の家 新築
 

2016年10月完成の住宅です。
弊社にとっては2軒目の、本格和風家屋のご依頼でした。肩に力が入る自らを抑えつつ、「伝統とは何だ」「地域性とは何だ」という問いを重ねて完成した次第です。

 

「和」と一口に言いますが、和の住宅は、長年かけて地域や建て方でルールがあらかた決まっています。そこに個性を出すというのはなかなか難しいテーマです。崩しすぎると「若気の至り」、伝統に寄りすぎると「古臭くてアイデアがない」家ができてしまいます。
しかも、いわゆるごまかしがききません。梁や柱がむき出しであったり、壁も手塗りで仕上げたりと、職人技の一つ一つ、材料の一つ一つが目立つ造りだからです。最初が良くても、経年劣化で悪くなっていくのが早い、という特徴もあります。

そんな中でまず気にしたのは「すべての部屋の大きさ」です。とはいえ、和室には「〇〇畳」という考え方がありますので、そのあたりは守って作り、そこで余った空間に、日常必要なキッチンやお風呂・トイレなどをはめ込んで設計しました。
玄関の幅は一間(いっけん=1800mm)です。そこにつづきの土間と小縁(こえん=縁側の奥行きの浅いもの)を作りました。というのももともとの日本庭園が見事でしたので、それを鑑賞するためです。訪れた人は玄関でなく、小縁のほうへ移動してちょっと腰かけて話し、正面の庭を楽しむことができます。
小縁はもともと雪国に多いスタイルで、雪に降りこめられても着物をぬらさず茶会が開けるようにと始まりました。そんな地味な理由ながら、結果的に雪国の暗さを室内オープンテラスで解消するという、ステキな解放感がある空間となっています。
これが、小縁に使った80年前の松の木です。奥様のご実家を建てた際に、おじいさんが山から伐って馬車で運ばせた、というエピソードのある松の板。造っている途中で「どこかに使ってね?」というノリで渡されましたが、良いところに使えたのではないかと自負しています。
赤く深みのある色は、埃をかぶって出てきたとき濃い茶色に灼けていたのがうそのようです。少し削っただけで鮮やかな色が出ましたが、この木の力に他なりません。目の細かい良い板です。
その 松の板に負けないように使った、ケヤキの一枚板。これは平塚家具でテーブル用に売っている板を加工したものです。
お施主さんには何も相談しなかったのですが、「いいのを使ったね!」と喜ばれました。
床板自体はナラの木なので、松に寄せるのか、ナラに寄せるのか、を設計段階では迷いました。そこで、あらかた作ってから決めました。計画性がないと揶揄されるかもしれませんが、プロとしては、最初にガチガチに決めてしまうのもちょっと違うわけです。造っていくうちにしか感じられないときも正直あります。
余談ですが、100歳を超えた女性書家が「私の仕事には偶然がない、自然にこうなったとか、たまたまこうできたとか、作家はそういうことであってはいけない、そんな不安定なものに頼ってはいけない」 と言っており、ドキッとしたことがありました。カッコいいなと私も自分のやり方を再考しましたが、すぐに芸術と建築は違う、という思いに至りました。芸術はあくまで自己を通して作ってしまえるものですが、建築は逆で、自己と他者ひいては自然と時間との関係性を加味せずには造れません。自分の想いはゆるぎなくあるにせよ、そこに加えてお施主さんの想いがあり天候があり、加えて時間も経って古びていく運命もある。その変化にたたずむ物質である建築を、「偶然を排除」して考えられるはずもなく、私たちは良い建物を作りたいと願いながらも、いつも何かを諦めて、時には負けて、それでも最善を探しながらていくのがいいのだろうと思います。

玄関の庇は、銅板葺き一文字仕上げです。床は、土を固めて作る三和土(たたき)。
ただ現在は、それではかび臭いとか、ほかの場所との基礎強度の問題で、樹脂の入った土をコテで均して使います。
玄関の柱・桁・タルキは、京都の北山磨き丸太をつかいました。京都北山の名産品です。乾燥させた北山丸太の表面を、さらに光沢を引き出すため、たわし状のもので磨きます。この作業は従来、「菩提の滝」で採取した砂を使って女性たちが磨いていました。最近では水圧で行う場合もあるそうです。塗装をせずとも自らの樹脂がコーディングされており、外からの雨にとても強い仕上げとなります。

木は自然のものですので、太陽にあたって雨にあたって時間が経って、という経年変化を想像しながらの材料選びです。


この家が完成した日、施主さんが手水鉢の水と
竹を新しくしてくださいました。

オープンハウスには人が沢山いらっしゃるだろうと言って施主さんが庭に手を入れてくださいました。ご家族総出の姿に感銘を受けました。作業をなさる皆さんの、おもてなしの姿勢のごくごく自然な様子を見ていたら、理屈ぬきにホッとしました。皆でものを美しく見せる作業の合間に、また次の何かを愛でる気持ちが湧いてきました。「手を入れる」と、モノ以上に自分に還るんですね。


奥の「タテマエ」の手水鉢に対して、
本当に手を洗いたいとき用の
「ホンネ」の手洗い鉢を設けています。

これは施主さんが位置を決め自ら置いてくださった沓脱石と、砂利です。工事中もちょこちょこ施工を手伝ってくださるのですが、施主さんは土木のプロですから普段の手伝いとは機動力が違います。しばしば感心し助けられました。
和室の枠は、なるべく細く、何重にもしないようにやってみました。特に欄間の枠は聚楽に埋込です。これだけのことで、美しく見える気がします。何重にも木を重ねて豪華さを出す和室が昔のやり方なら、手間暇かけて何もないように装うのが現代風です。文化レベルが上がったらシンプルになっていく、という日本のデザインの傾向を、人生になぞらえても素敵だなと思います。

欄間下の敷居が見えないように聚楽で塗りまわしてあります。手間はかかりましたがきれいにできました。
所詮は欄間自体の枠があるので、ミニマム(最小限)とまではいかないのですが、こういう部材を隠したいとか、線を華奢にしたいとかいう気持ちは、千利休の昔より湧いてくるDNAなのでしょうか。近年では、巨匠・吉田五十八
(よしだいそや)が作った和室が本当に美しいです。
海外では、アアルトやフィンユールを見てると近いものを感じますが、いかんせん北欧には和室がありません。残念です。 いつか、ほとんど枠の存在が見えない和室を作ってみたいものです。

鍵置き場を作ってよね、という一言で、丸を思いつきました。杉の木を丸く曲げるのは大変かなと思ったのですが、「ま、やれるだろう」と軽く大工が言い、その人とは違う人が工夫して仕上げてくれました(笑) 今度はひょうたん型に挑戦します。
床の間は、三福の軸がかけられるように「三福対(さんぷくつい)」という仕様になっています。左右の軸は1尺の間を行き来して位置を決めることができます。
床の天井板は網代(あじろ)です。薄い杉の木を網上に編んであります。
リビング。施主様は50〜80代のご家族なので、自分が使って気持ちがいいが、家族が2〜3人になった時でも広すぎない、というサイズを考えました。
家具は、平塚家具で人気の変形テーブルです。
ソファは、他のお客様から頂いたイタリア製のオイルレザー。「家庭の事情で置けなくなったが、いいソファだからクーカンのお施主さんに使ってほしい」と渡されました。使用後ですから、アンティークですね。良い方から良い方にモノを移す係になるのも、いいものです。

大人気の寄木ドアを今回も使ってみました。アガチスという硬い木を使っていますが、もうそろそろ入手できなくなるそうです。寄木は、杉と檜の組み合わせです。ソフトに開閉できるダンパーレールを使って使用感も満点。
今回は、1Fの建具はほとんど手作りです。


玄関から西側がすっかり和風なので、ちょっと気持ちを落ち着かせる(?!)ために、赤いキッチンをイタリアンタイルで包んでみました。
現代に生きているのですから、現代風なインテリアを入れるのも住んでいる人の息抜きになるかなと思います。

洗面台は、階段奥の廊下に、ドアがない状態で置かれています。広い家に慣れた方は、閉ざされた洗面所なんかで歯は磨かない、ということが最近わかってきました。(笑)

化粧っ気のない手洗いコーナーにしないために、クロスをいったん切り替えて張りました。これは、黒い鉄とナラの木で造った階段の色のコントラストにも似せています。ちょっとしたことですが、おうちに変化と統一感の両方を与えているはずです。

階段手摺の中段は、ナラの木の一枚板です。
実はこういう転倒防止的な手摺は、背が高くてつかみにくいのが現状です。ですがこのナラの中段を持って降りていただくとちょうどいい設計になっています。
手に触れるところが無垢板、というのはかなり気分がいいものです。そのため、できる限り木の皮を削ったままの凸凹を活かしています。

バスルームはノーリツ製です。なんとこのお風呂、この白い穴からマジックリンが噴出し、自動で浴槽を洗ってくれるという素晴らしい機能を持っています。

トイレの手洗いや、男女別のガラスの仕切りはクーカンオリジナル設計です。
コンパクトに仕上げたいが、手は広いところで洗いたい、というご要望にお応えしました。

2Fは、半埋め込みで、奥行を20pのまま28pの手洗い器を入れました。

2Fのドアは、すべて「フルハイトドア」を使っています。
高さが天井まであり、開けたときはとても開放感があります。

 

 

1Fの小屋裏(天井の上から屋根までの△部分)を使って、ロフトを作りました。「安く済ませたいから、余った床でいいよ」といわれ、それで作りました。

屋根裏収納は、温度が上がりすぎると隣の部屋も暑くなるので、熱で自動で作動する換気扇が付けてあります。





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